SS晒し

この前某社の筆記試験で提出したSSを曝してみる。
ちなみに筆記試験のお題は、ある3つの単語を使って1200字のSSを書けというもの。
3つの単語ってのは敢えて書かないけどSS読んだらわかると思う。
あ、因みにコレで筆記は通ったけど面接で撃沈しますた。


文章書くなんて大昔に書いたエロゲのスクリプト以来、SSなんて初体験。
とりあえず1時間くらいででっち上げたら2000字オーバー。
文字数削り&構成に2時間もかかったというSS処女作。暇でヒマで死にそうな人だけ「続きを読む」で。
『CHANGE』


「チェンジ!」
俺の今夜三度目となる台詞によって、今夜三人目の女は帰って行った。


やれ世界恐慌だ経営破綻だと騒がれる昨今、同じ台詞で世界を変えようとしている大統領がいるが、俺が変えられるのは精々夜伽の相手くらいだ。


さて次に来るのはババァかヤクザか、と身構える俺の前に現れた四人目は、有り得ないくらい美しい顔で、有り得ない言葉を口にした。


「あかんわこの男……チェンジ」


思考が停止する。


「……まさか俺をチェンジするって言ってんのか? 客の俺を!?」
「だってアンタ、根性曲ってそうな顔してるし」


――並の女だったら引っ叩いて追い出す所だが、そうさせない魅力が彼女にはあった。
何としてでも今夜はコイツに相手をしてもらわねば気が済まない。
俺は一計を案じた。


「じゃあここは一つ、勝負をしよう。
俺が勝ったら今夜は相手してもらう。負けたら代金払って何もしない。
勝負はなるべく運任せですぐ終わる……そう、ポーカーとかどうだ?」


一気に捲し立ててこっちのペースに引きずり込む。


「うーん……まぁええわ。ポーカーならルール位解るし。
それにウチ、ギャンブル強い男は好きやし。アンタが勝ったらたっぷりサービスしたるわ」
 トランプは家にあったものを使うので、後でイカサマだ何だとケチを付けられぬよう、まず女にカードの確認をさせる。その後お互いにシャッフルし、女に配らせる。
女はシャッフルもディールもたどたどしい。素人確定だ。


「CHANGE(カード交換)は一回、一発勝負だ」
「ええよ。まずはアンタからやな」
「二枚CHANGE」


無論まともに勝負する気はない。
シャッフルの時に抜いたカードを手札とすり替え、♥のフラッシュ完成。
素人にはまず見破れないし、これに勝てるのはフルハウス以上――そうそう出るものではない。
一方、女はまだ手札を見てすらいない。


「……チェンジ」採用
「手札も見ずにCHANGE? ルール解ってる?」
「鈍い奴やな! カードやなくてアンタをチェンジ(・・・・)言うとんのや!」


女は大股で玄関へ向かう。


「ズルいぞ! 今更試合放棄か!?」
「ズルい? あんなヘッボいパーム仕掛けといてよう言うわ!」


バレてた!?


「正々堂々勝負するならよし、イカサマやるにしても上手くやるならまぁ、見逃したったわ。
でもな、何も知らん素人やと思って堂々と下手糞なイカサマ仕掛けてくる根性が許せん。
やっぱ第一印象通りの根性曲がりやったわ!」
「汚ぇ! 素人のフリしてたのか!? サギだ、八百長だ!」
「どの口が言うか! 
……あとな、“八百長”って、予め両者合意でガチンコのフリすることを言うんやで。一つ賢くなってよかったなぁボク。さいなら!」




バタン!
女が出て行った後、伏せられたままだった女の手札を捲ってみた。
――Qのフォーカード。
イカサマか強運か、あの女ならどちらも有りな気がしたし、もうどっちでも良かった。


「……あんな女、こっちからチェンジだ……」
四人の女王(クイーン)の顔が今夜の四人の女とだぶって見えた気がした。